発達障がいの種類と特徴

発達障がいについて、統一された定義は現時点では存在しません。
医学の領域で発達障がいに関する診断カテゴリーが設定されたのは、2013年に米国精神医学会(APA)より刊行されたDSM-5が最初です。このDSM-5によると、発達障がいは、神経発達症群(神経発達障害群)の中に位置付けられており、「日常生活、社会生活、学業、職業上における困難を引き起こす発達の問題が、発達の過程で出現するもの」と説明されています。

 

発達障がいの原因は、まだはっきりとしていません。

しかし、はっきりしていることがあります。それは、親のしつけや育て方、養育環境、怠慢などが原因ではないということです。だからお子さまが発達障がい、もしくはその特性を持っているとしてもご自身を責める必要は全くありません。

ただ、「発達障がい」といってもひとくくりにできるものではないので、お子さまの特性に合わせた色々な対処方法を試してみることをお勧めしています。

近年では、遺伝学的な見地、画像研究(脳機能に関すること)の見地などから発達障がいの研究も急速に進められています

 

DSM-5(米国精神医学会発行の「精神疾患の診断・統計マニュアル」)による発達障害の分類のうち、主な6種類について、簡単に示します。

 

1.自閉スペクトラム症(自閉症スペクトラム障害)【ASD】
自閉スペクトラム症(ASD)は、対人関係、コミュニケーション能力、想像力の障害があることが特徴です。また、感覚や運動面の障害を伴うこともあります。
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2.注意欠如・多動症(注意欠如・多動性障害)【ADHD】
注意欠如・多動症(ASD)は、不注意(集中力が続かない)・多動性(じっとしていることが苦手)・衝動性(思いついたことをやってもよいか、判断せずに行動してしまう)などが特徴です。
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3.特異的発達障害-(1)コミュニケーション症群/障害群【SCD】-
コミュニケーション症群/障害群【SCD】は、言語以外の発達に問題がないのに、その年齢で期待される言語の発達(聞くこと・話すこと)のレベルに到達しないことが特徴です。 状況に合わせた会話やあいまいな表現の理解の困難などがあります。限局性学習症(SLD)に進んでしまうことが多いことが知られています。

4.特異的発達障害-(2)限局性学習症(限局性学習障害)【SLD】-
限局性学習症(SLD)は、学業において習得が求められる基本的な技能【読む】・【書く】・【計算する】・【推論する(いわゆる文章題)】の習得が、知的なレベルと比較して著しく低いことが特徴です。
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5.特異的発達障害-(3)発達性協調運動症/発達性協調運動障害【DCD】-
いわゆる「不器用な子」のことです。物をしっかりつかむことができない・落とす、スポーツが苦手、書字が苦手、などで気付かれることが多い障害です。

6.知的発達症(知的能力障害)【ID】
全般的な知的能力と、社会に適応する能力の遅れの両方がある障害のことを指しています。教育や福祉の支援対象となる障害です。

 

文責 林田宏一(キッズボンドグループ顧問、学校心理士、特別支援教育士)

【参考文献】
LD・ADHD等関連用語集【第4版】(2017年発行).日本LD学会編.
特別支援教育の理論と実践【第3版】Ⅰ 概論とアセスメント(2018年発行).一般社団法人特別支援教育士資格認定協会編.